GWもあと少し。
皆様 お疲れは出ていませんか?
さて、フィル動物病院では 6月まで春の健康診断を行っています。
春検診では年齢やグレードによって8つのコースを作っています。またオプションも可能です。
今日はその中でも、猫の心臓バイオマーカー

猫

はじめの症状が、「おとなしい」であることが多く、聴診器を使った心臓の音も異常が無い事も多いのです。
加えて、レントゲンでも初期は変化が認められない事もあり、なかなか獣医師泣かせ

診断にあたっては、心エコー検査(心臓超音波検査)が必要ですが、聴診やレントゲンと違って、これまた、小さな心臓を観察しなければいけない(そこそこ高級なエコーの機械も必要です)ため、じっとしてもらう必要があります(レントゲンや聴診も少しの間はじっとしていてください)。
必要だからじっとしてね・・・、と言ってじっとしてくれるなら、こちらも苦労はしないのですが・・・

という訳で、実は猫たちの心エコーってとても大変なのです。

そこで心臓病が気になる猫たちにおすすめなのが、心臓バイオマーカーと言われる血液検査項目です。
春検診での採血で一緒に検査することが可能です

心臓バイオマーカーには数種類あります(それぞれ少しずつ意味合いが違います)が、中でもpro-BNPは肥大型心筋症が進行すると高値になることが分かっています。
もちろん、肥大型心筋症なのかどうかとかその心臓病の程度は心エコー検査に加えてレントゲン検査や心電図が必要ですし、ホルモンの値が必要になる事もあります。
先日もシニア期に入ってきたのでちょっと心臓が心配だけど、レントゲンや心エコーなどは負担がかかるからという猫様に心臓バイオマーカー付きの春検診をお薦めしました。そうすると、pro-BNPは正常の3倍以上の高値であり、心エコーによって肥大型心筋症が確認されました。まだステージは初期段階でしたので今は投薬を行う事でできるだけ進行を抑えています。
肥大型心筋症が進行して、心不全の状態となると胸水が溜まったり、肺水腫になったり、とても大変。この病気は動脈血栓症も有名で突然の後肢の麻痺が起こることもあります。何よりこのような状態からの救命が大変でもあり、この肥大型心筋症は突然死が多い事も知られているのです。
他にもこの心臓バイオマーカーが高く、心エコーで肥大した心筋が見つかり、追加検査によって高血圧症や甲状腺機能亢進症が見つかった猫もいます。(フィル動物病院ではシニア猫様には甲状腺ホルモンの検査をお薦めしています)
さて春検診の有用性 皆様もわかっていただけたかしら・・・。